男性の下半身に効く成分を検証する~「亜鉛」
亜鉛は「セックスミネラル」という異名を持つくらい、下半身の元気を司る成分だといわれています。
しかし、実は亜鉛の役割は多岐にわたって非常に重要なものなのです。
亜鉛が不足すると、人間の体は様々な不調を起こしてしまいます。
ですから、性生活のためだけでなく、健康な日常生活を送るためにも、亜鉛の重要性について知っておく必要があるのです。
(1)人間の体は亜鉛でできている!?
亜鉛は、人間に必要な「必須ミネラル」のひとつですが、体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。
骨や筋肉、皮膚、脳をはじめ、肝臓や腎臓など人体の主要な部分に存在する亜鉛は、たんぱく質の合成に必要な酵素の原料としての役割を担っているため、これが足りなくなると、様々なトラブルが発生するわけです。
つまり、人間は亜鉛を摂取することで正常に生活できているのです。
視点を変えれば、どこかしら体の不調に悩んでいる人は、「亜鉛不足」を疑ってみてもいいかも知れません。
(2)亜鉛不足が引き起こす問題
味覚障害
私たちが食べ物の味を感じることができるのは、舌に「味蕾(みらい)」というセンサーが備わっているからです。
その味蕾の中の「味細胞」が、味を識別しているのです。
味細胞の寿命は約一カ月といわれているので、健康な人の舌は一カ月ごとに新しいセンサーに交換されているわけです。
しかし、亜鉛が不足すると、この味細胞が作られなくなります。
そうなると、「古いセンサー」で物を食べなくてはならなくなり、いわゆる「味覚障害」という状態になるのです。
したがって、「最近、食事が美味しくない」とか「料理の味付けに自信がなくなった」という人は、意識して亜鉛を摂取するようにしてください。
発育不全
亜鉛は体のあらゆる部分の形成に関わっているため、成長期の子供にとっても必要不可欠なものです。
不足すると「低身長」のリスクもあります。
昔から、「牛乳をたくさん飲むと身長が伸びる」と言われますが、これは動物性タンパク質と亜鉛を併せて摂取することで、新陳代謝が促進されるためであり、特に牛乳に含まれる「CPP」(カゼイン・フォスフォ・ペプタイド)が亜鉛の吸収を促進する特性があるからです。
免疫低下
亜鉛は免疫能力にも影響を与えています。
細菌やウイルスから体を守る白血球にも亜鉛が多く含まれているからです。
また、亜鉛には粘膜を保護する作用もあるので、風邪やその諸症状(咳や鼻水・鼻づまり)にも効果が期待できます。
精神疾患
亜鉛は神経伝達物質の生産にも貢献していますので、体内の亜鉛が欠乏すると、脳の機能にも悪影響を及ぼします。
脳内の神経伝達物質が少なくなると、記憶力や注意力が低下するとともに、精神状態が不安定になり、うつ病を発症する確率も高まるのです。
精力減退
亜鉛がセックスミネラルといわれる所以は、男性の生殖機能に深く関わっているからです。
特に前立腺や精巣に多く含まれているため、亜鉛が不足すると精子の量が減少し、不妊の原因にもなります。
また亜鉛はテストステロン(男性ホルモン)の分泌も司っているため、亜鉛の摂取量が減少すると精力が減退したり勃起不全につながる恐れもあるのです。
(3)亜鉛の摂りすぎによる副作用
亜鉛は人間に必要な16種類の必須ミネラルの一つですが、高濃度の亜鉛は害を及ぼすリスクもあります。
といっても食物に含まれている亜鉛程度なら毒性を心配する必要はありません。
亜鉛の含有量(100gあたり)が多い食品は、
・牡蠣 (7mg)
・レバー(6mg)
・牛肉 (4mg)
・小麦 (4mg)
・チーズ(3mg)
・納豆 (3mg)
となっています。
過剰摂取で中毒になる亜鉛の量は「1日に2g」ですので、牛肉なら50キロ以上食べなければ問題ないわけです。
お腹を空かせたライオンでもそんなに食べませんよね。
ですから、食事で亜鉛を摂りすぎる心配はありませんが、サプリメントや亜鉛を強化した食品などは気を付けなくてはなりません。
1日あたり2gを超えてしまうと、めまいや胃腸障害(嘔吐、食欲不振、下痢)などを引き起こす可能性もありますので、成分表示をよく確認しながら摂取してください。
ちなみに一般的な成人の推奨摂取量は「一日あたり10mg」とされています。